まつもとの雑記

理系のオタクが一般ピープルには理解されない"ディープな"趣味について書き綴ります

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スーパーで売られているホタテガイを飼育する話の裏話

ホタテガイを飼育したくなるのは誰だって経験するものと思います。実際に私も去年の3月の中旬にホタテガイを入手し、8月の上旬まで飼育していました。なぜ8月で終わったのかと言われると、私の用事で長期の間、家を留守にするからでした。

 

初めはホタテの稚貝でやっていました。いつからか、バーベキューで焼きたくなるサイズの大きいホタテガイでもやってみたいと思い、水槽に放り込みました。

稚貝とバーベキュー用のホタテガイ、どちらも海水が入っていないパック詰めの状態でした。

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ホタテ以外にもナマコもハマグリ、サザエとかも、上の写真のような感じで売られていた。死んでいるように思えるが水槽に入れた結果、ほとんどの個体が生きていたのである。

(ホタテガイに関しては午前10時に開店するスーパーで12時ごろに購入し、購入後10分程度の時間をかけ家に戻り、すぐさま水槽にぶち込んだ。気温も寒く、売り場も冷たい。水槽の水温も冷たいので水あわせをせずに投入した。)

 

はっきりと言えることだが、ホタテガイは弱い。なぜなら、アサリやハマグリと違い、内部にゴミや底砂、エアレーションの空気の泡が入りやすい。細かい泡が入るとカビが発生してしまうだろう。生きの良いホタテガイなら異物が内部に入らないように外陰膜(ヒモ)が守っているが、売られているものは生きていても弱っている個体が多いため、外陰膜を動かせない。(死んでいるもしくは死にかけの個体は、閉殻筋(貝柱)を動かすことができない。)

また、稚貝はかなりデリケートであるという事。少し水質が悪化しても大きいホタテガイは耐えることができたが、稚貝では無理だった。

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左が弱っている個体。右は少し弱っている個体

普通の部屋でもわかるのだが、暗い部屋でライトを照らすとよりわかりやすい。ホタテガイには外陰膜に目があり、黒い点に見えるものすべてが光を感じることができる目なのである。生きている個体を見分ける際は、ホタテガイの目と私の目が合うのである。

多分、理解されないと思うので、暗い部屋でライトをホタテガイに当てて欲しい。

すると、下の写真のようにホタテガイの目が光って見えると思う。

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この写真のホタテガイはライトを照らすと眩しいのか、外陰膜を動かしていた。

そして、元気なのか目で見てわかるポイントは、外陰膜から出ている触手の数。貝殻の淵の触手と、内側の方にも触手がある。

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死んでいる個体はだらーんとした触手になっていることが多いので、ある程度見分けることができると思う。

「触手が出ている」=「貝類の健康バロメーター」だと私は思っている。アサリやハマグリ、サザエやアワビにもいえることで、健康な個体ほど触手を長く、本数を多く出している。アサリやハマグリは入水管、出水管の先端をよく観察してみると出ていたりする。

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サザエは貝殻と足の間ら辺に数本の突起がある

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水槽に投入したばかりなのであまり出ていないが、頭の方に触覚とは別の触手があるのがわかる。

アワビがもっと触手を出している写真が欲しかったが、友人に譲る前に撮っていなかった。。。

 

ホタテガイやアワビ、サザエを水槽に入れるが、水槽に投入した翌日が非常に恐ろしい。なぜなら、粘液を多く出すタイプの貝類なので、水槽が真っ白に濁る可能性があるからである。私の場合は60cm水槽に90cm水槽以上用の外部フィルターを使っているため、「餌を馬鹿みたいに入れる」か、「全くフィルターを交換しない」か、「貝が粘液を多く分泌」しない限り、白濁はしないはずである。(過去に白濁したのは全くフィルターを交換していなかったため)

ちなみに、水槽に投入した最初の日と翌日が恐ろしいだけで、それ以降はさほど粘液を出さない(=水槽の環境に貝類が適応した?)ので気にならない。

 

ホタテガイを買おうと思っている人がいれば、よく考えて欲しい。

水槽にクーラーを入れて夏でも15度程度に保っておきたいという点やホタテガイは餌をかなり食べるという点、水質悪化の原因になりやすいという点を持っている。コストがかかる上に水質悪化の原因なので大変である。

飼育難易度(個人的な意見)でいうと

難←  →易

ホタテガイ<|超えられない壁|<アワビ<バイ貝<サザエ≦カキ≦ハマグリ≦アサリ

…である。そもそも入手するところから大変であった。サザエはかなり強い方ではあるが、私が入手する店ではだいたい弱っているのでアサリなどより弱いと評価した。

 

水温を調節しないで済む近海産のハマグリやアサリ、サザエを育てることを私は勧める。

 

下のリンクは以前、ホタテガイを飼育していた時のこと。

matsup.hatenablog.com

matsup.hatenablog.com

前編、後編 それと便座カバー

matsup.hatenablog.com

うん、やっぱりホタテガイを飼育したくなるよね。殻長が15cmほどのホタテガイを60cm水槽で飼育してみましたが、予想よりも泳ぎ回ります。そしてガラス面にぶつけていました。飼育するのであれば、大きめの水槽が必要です。そして、餌は海水に溶かして与えるため、ロスが非常に多いです。餌を与える時だけ別水槽に移す、インク交換用シリンジや駒込ピペット的なもので与えるなどの工夫が必要です。海水に溶かして与える方法は水槽内のカイアシ類が増えるというメリットがありましたが、ろ過装置のフィルターがすぐ汚くなるデメリットがあります。

 

matsup.hatenablog.com

 

あと注意する点は、エアレーションの泡くらいですね。水深を深くする等でホタテガイに空気の泡が入らないようにセッティングできれば良いのではないかと思います。(泡がホタテガイに当たらないようにかつ、酸素を十分に送り込むように。海水は酸素が溶けにくい)

本当は近海産の生物の飼育を勧めますが、冬は気温が低いため、水槽用クーラーのコストはかかりませんし、餌を与えなくてもある程度の日数は持ちます。そして水質を安定させやすいです。また、ホタテガイを入手しやすくなるのも冬なので、

設備等が万全の状態でどうしてもホタテガイを育てたいという方、

ホタテガイのために私財を投げ打つことができるという方は挑戦してみてはいかがでしょうか。