ハイポネックス培地を作成したので、練習用に紫蘭(シラン)、本番にサギソウの無菌播種を行いました。
無菌箱やクリーンベンチを用意するのは一般家庭では無理だと思うので衣装ケースや段ボールで自作するか、自作せずにコンロの近くで作業する手法、殺菌に微酸性電解水を用いる手法などがあるが今回はコンロの近くで作業しています。
まずはさやの部分を食器用洗剤で洗い、次亜塩素酸ナトリウム水で表面殺菌する。
さやが裂けて種子が出てしまっていたら有効塩素濃度0.01%で表面殺菌するが、さやがしっかりとしていて中が無菌状態を保っているため1〜3%で殺菌する。
70%エタノールにつけてから次亜塩素酸ナトリウム水で殺菌するのが普通だが、70%エタノールにつけて火炎滅菌した後に播種しても大丈夫(だと思う)
注意 ピンセットや瓶をエタノールで消毒して火炎滅菌する際はゴム手袋を使わない。引火した場合、ゴム手袋が溶けて火傷する。
手を怪我しているのでゴム手袋を着用したが、危険なので真似しないこと。
火の近くでは上昇気流が発生するため、この近くで滅菌した瓶のフタをあけてもホコリやカビが落ちてこない。
ガスバーナーやコンロの近くで簡易的な無菌播種ができるので、やってみたい人は火傷しないように注意しながらやってみてほしい。
さや(画像はシランのもの)の中には種子がびっちりと詰まっている。
ランの種子は小さく栄養を含んでいない。したがって自然界ではカビ(ラン菌)と共生して栄養をもらい発芽する。
人工的に作った培地ではラン菌の共生がなくても発芽させることができるのです。
手柄山温室植物園でいただいたサギソウがようやく開花 pic.twitter.com/xYK0OUuPQT
— まつもと (@_matsup_) 2023年9月8日
今回扱うサギソウは昔、生息地が埋め立てられる前に回収した系統と、植物園のイベントで配布されたものを使った。
サギソウもシランと同様に無菌播種をしていくのだが、シランに比べて胚が未発達なものが多く、発芽しないものが多い(ような気がする)。もしかすると完熟させたほうがいいのかもしれないが、さやが裂けてしまうと消毒が面倒であるから完熟のものを扱っていない。
顕微鏡でサギソウ種子を観察すると胚があるのが確認できる。
播種すると1週間程度で胚が膨らみ、うすい緑色になっていた。
早いものは仮根が伸びていた。この調子だと葉原基ができ、第1葉が伸長する。
サギソウもシランも生長中。この調子で大量増殖させたい。