土手で食材を集めて料理する話
まず初めにお伝えしたいのは、土手は食材の宝庫であるということ。
魚、植物、虫…と捕獲するのが難しい生き物もいるが、簡単に獲れる、身近な食材もある。
食べるものがなくなったというヤバい状況に陥ったら迷わずに土手に行こう。
まず紹介するのはコイツ。
土手付近の用水路で見つけた。土手にも生息している。
汚い環境でも生息できるアカテガニとクロベンケイガニだ。
はじめに言っておくが、こいつらは食用ではない。小型のカニなので身を食べるということができないからだ。しかし私は捕獲することにした。
ちょっと深いところにいたので棒状のものを手当たり次第使っていく。かなり逃げ足が速いので捕獲するのも一苦労だ。
ゴミ(落ち葉)ごと回収した。それにしても動きが速い。
3匹のクロベンケイガニを捕獲することに成功した。後の画像でわかると思うが、コイツらはあの上海ガニ(チュウゴクモクズガニ)や日本のモクズガニの仲間なので脚に毛が生えている。
モクズガニが苦手な人の多くは脚の毛(私はモクズガニの仲間の脚の毛のことをすね毛と呼んでいる)が生理的に受け付けない人が多いと個人的に思っている。上海ガニやモクズガニは身は美味いし内子も美味い!特に濃厚なカニミソが絶品だ。
筆者は多くの人にモクズガニを入手する機会があったら食べてもらいたいと思っている。それほどオススメのカニだ。
そんなモクズガニの仲間がこのベンケイガニだ。無条件に美味いだろう。
ちなみにこのベンケイガニの"ベンケイ"の由来は武蔵坊弁慶のいかつい形相をこのカニの甲のゴツゴツとした質感をなぞらえてつけられたらしい。
カニを捕獲できたので土手へと移動する。
早速、ノビルを回収した。
ノビルは日当たりの良い土地(土手や畦道など)に生えており、一番身近で簡単に採れる野生食材だと筆者は思う。
生で食べてみた感想は、辛さはタマネギ。これはタマネギと同じくノビルには硫化アリルという物質が入っているからだ。ちなみに硫化アリルには動脈硬化や血栓予防、疲労回復に効果が期待できるとされているが、加熱をしてしまうと硫化アリルが変化して効果が失われ、甘くなる。効能の観点から見ると生食がいいのだ。味はらっきょやニンニク、ネギを足して割ったような感じである。辛いのが苦手な方は茹でて酢味噌や味噌をつけて食べると良い。
見た目は葉がニラのようで、鱗茎はらっきょのようである。
毒草のスイセンとの見分け方は、葉を刻んだときのネギ臭の有無、鱗茎が白いか黒っぽい皮に包まれているかどうか、鱗茎、葉の形状で判断できる。もちろん、ネギ臭がするのがノビルで、鱗茎が白く、鱗茎が丸い(スイセンは楕円に近い)、葉はニラの様な感じだが、断面がV字になっている。どちらかというと、ニラとスイセンの方が間違いやすいので注意されたし。
ちなみにノビルの花はネギみたいである。花言葉は「タフなあなたのことが好き」
続いてハマダイコンを回収
下の画像の通り、根っこはダイコンそのもので食べることができる。しかし、いわゆる私たちが普段たべているダイコンとは違い、かなり繊維質で固い。さらに今の時期は花を咲かせているため、特に形成層が固い繊維になっている。
ハマダイコンは主に果実を食すようだ。生食するとかなりダイコンの味がする。
もちろん、根も葉も食べることができる。
食材が揃ったのでお昼にしよう。
米を炊く際にカニを入れて炊き込みご飯を作ろうと思う。
カニを人道的に締めた後、飯盒(はんごう)に米と水、締めたカニを入れ、潰したノビルを入れて火にかけた。ノビルは臭み取りとしていい感じに役割を果たすだろう。
米だけで十分だったが、ポケットからインスタント味噌汁が出てきたため、味噌汁用にハマダイコンを切っていく。
繊維が固いため、食べるときのことも考えて薄めに切ると良い。
この後、米がある程度炊けたら飯盒の蓋を外して、蓋で味噌汁を作ろうと思っていたが、米が炊き上がるまで暇だったので辺りを散策することに。すると…
そこにはなんと!岩に張り付いている無数の岩牡蠣(マガキ)が!!!!!
木の枝で何度も殴打しても回収できなかったが、たまたま浮いていたリポ○タンD的な茶ビンで殴ると簡単に回収できた。ビンなので叩き割って破片で負傷することないように注意されたし。
牡蠣は美味しいですが取り過ぎ厳禁。たとえ取ってもいい場所だとしても、牡蠣は汚れた海水をろ過して綺麗にしてくれる、河口〜干潟の環境を綺麗にしてくれるイイ奴なのであることを忘れないで欲しい。マガキを根こそぎ取ってしまうと水質悪化などで生き物が減ってしまう可能性があるのだ。
取り過ぎ厳禁。この1食に必要な分を必要なだけ。
マガキの回収に夢中になっていたため気付かなかったが、牡蠣殻で出血していた。
こういう時に役立つのがアクアリウムでも使われることのあるチドメグサだ。チドメグサをすり潰すとセリ科の植物のような匂いがする。ちなみにチドメグサはウコギ科だ。
チドメグサの葉をすり潰した際に出る汁を傷口に塗ると、出血が止まる。
似たような効果のある薬草を探さねば…と目の前に誰かが捨てたのだろうか、シランが咲いていた。
本来は乾燥させた根を使うが、ダメ元で花をすり潰して患部に塗り込んでみた。
なんと!止血に成功した。
これで飯を食う時に手の出血を気にせず食える。
ベースに戻り、蓋を使いお味噌汁を作ることに。先ほど回収したマガキも入れる。
炊き込みご飯と味噌汁が完成した。
少し繊維質で口に残るのが残念だが、美味い。
味噌汁に入れたマガキの身はぷりっぷりであった。
炊き込みご飯は思っていたほど泥臭くなく、ノビルががんばってくれたのだろう。
少し醤油を入れた方が美味いはずだが、これはこれで十分に美味い。
野生食材を使った飯に満足した筆者はまた新たな地を探しに歩を進めた。
もちろん、ゴミは回収する。特にビニールやプラは必ず回収しよう。
家に帰ったら忘れずにちゃんとゴミ箱に捨てよう。そのまま洗濯すると悲惨というか、一人暮らしなら問題ないかもしれないが、妻や母親に文句を言われてしまうから注意だぞ!
今回の内容は動画としてもあるのでよろしければどうぞ…
土手と住宅街を流れる用水路で食材を獲って一品つくる
土手にやってきた。何をしにきたってもちろん飯を食わないと死んでしまうので食材探し。ここならスーパーとは違い3密を防ぐこともできます。
少し歩くとノビルが群生しているポイントがありました。
大きそうなものがあるので、さっそく味見をしてみます。
やっぱり玉ねぎやネギのような辛味がありますが少し甘味もあります。
これは料理につかえるのでキープ
そしてまたしばらく歩くとハマダイコンを見つけました。
この時期のハマダイコンは大根と同じ形の白い花を咲かせているのでわかりやすい。
花が咲いているので根の部分が固いかもしれない あるいは いわゆるダイコンの抽だい(花が咲くこと)と同じく真ん中にすが入っているかもしれない。
本来、ハマダイコンは実(種子)を食べる。種ができ始めている時期なのでサヤエンドウのような果実を持って帰り塩茹でして食べるのも良い。ちなみに生で緑色の丸々とした種子を食べると大根の味がする。
ノビル、ハマダイコンと入手したのでこんどはタンパク質が欲しくなりました。
あわよくばダイコンがあるのでぶり大根ができるんじゃないかと考えましたがこんなところからはブリなんて釣れませんが、足元には…
ボラ。この時期は稚魚が群れているのを見たことのある人が多いと思うが、成魚もこうして河口付近に集まっている。ここは住宅街を流れている川というより用水路で数十メートルで海だ。非常にボラが多い。
このブログの古参ユーザーなら知っていると思うが、私が使っているスピニングロッドはBenesse(進研ゼミ)の努力賞ポイントでもらったバスロッドである。
この竿で過去に大きなボラを2匹釣り上げているがそろそろこの竿も経年劣化が目に見えるほどになってきた。特に内部のサビや樹脂製の部品にヒビが入っているのは致命的でそろそろ高負荷をかけられなくなってきた。
といってもかかってしまうものはかかってしまう。
竿がすごくしなります。橋桁にラインが擦れて切れてしまいそうなため、場所を移動し…
見事、キャッチすることに成功!
わかりづらいかもしれませんが、上顎がっぽしみたいですね
これ、過去のシリーズでもありましたよね???デジャブ感じましたよね????
ボラってコケというか藻というか、捌いた時にわかるのだが泥ごと食べていることはわかっているのだが、どうもルアーなどでも釣れることがあり、単なるスレ掛かりとかではなく明らかにボラが食べにきているようなのである。
持ち帰って捌きましょう。このボラを持ち帰る際に一部始終を見ていた犬を散歩中のおじさんに「ボラを食べるのはやめとき」「食べても臭いから捨てることになる」などと忠告された。だが私はそんな忠告なぞ聞かない。確かに以前に食べたボラは身が煮ても焼いても揚げてもスライムのようだったが、同時期に友人が釣ったボラを食べると普通の魚で美味しいものだったので全てのボラが食えない訳ではない。また「臭い」「汚い」など血抜きや鱗取りなどの作業工程や調理方法次第で解決できるのだ。
それを一概に"泥臭いから食うな"というおじさんは私より年齢という面において社会経験は豊富であるが、ボラを食べることに関してはまったくの素人のようだ。
よくある例としてイノシシ肉を「野生動物」「獣臭い」「汚そう」などの理由で自分が食べないのはいいが、他人に自分の価値観を刷り込もうとする行為は私の嫌いな人種だ。
話が逸れたので元に戻す。ハマダイコンは種子の方を食べるのだが、根の部分も食べることができると思い、ぶり大根ならぬボラ大根をつくる。
完成したたのが下の写真
なんだかいい感じである
材料および工程はぶり大根と同じなため特にいうことはないが、ノビルをペペロンチーノに入れるニンニクのように潰して入れているのは臭み取り用で、ぶり大根でいう生姜の代わりになる。もし作られる場合は別にノビルなんか使わずに生姜チューブなどを使っていただきたい。
気になる味の方は…
私は普通にうまいと感じた。
ただ、少し臭みがあり、ノビルだけでは消し切れないのかもしれない。そして以前に食ったボラとは違い、ちゃんと繊維の方向に身が割れる。ちゃんとした魚の身だ。
ハマダイコンはただの大根であった。動画や画像を見てもらうとわかるかもしれないが、調理工程で表面の皮を剥いただけだったが それよりももっと内側の形成層を削りとらなければならない。なぜかというと普通に固いからだ。
逆に言えばこのものすごく繊維質で固い形成層以外はただの煮物に入っている大根の食感、味なので普通に美味しくいただけるのだ。ハマダイコンは実も葉も根も食えるので非常にお得だ。もしハマダイコンの根を食べるのであれば花が咲く前に収穫することをおすすめする。
今回釣り上げたボラのおかげで大幅に食費を削減することができた。そして美味かった。
釣り上げたボラ、獲ってきたハマダイコン、ノビルに感謝するまつもとであった。