まつもとの雑記

理系のオタクが一般ピープルには理解されない"ディープな"趣味について書き綴ります

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外来種を食べよう(ブルーギル編)

今さっき(料理を)作り終えました。(2018.11.2 20:28)

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北米大陸原産のブルーギル

今回の主役は特定外来生物に指定されているブルーギル。このブログで「外来種を食べる」系の内容の投稿を見たことのある方は、またコイツかと思うかもしれません。

ざっとおさらいをすると、ブルーギルは北アメリカ原産で、体長は20cmほど。止水域や流れの緩やかな環境を好み、雑食性で水生昆虫や甲殻類、小魚、魚卵、水草を食べる。時にはオオクチバスやコイなどの稚魚や魚卵も食べる。日本には食用として持ち込まれた。

…そして、捌く時に背びれの処理をしていないと痛い目にあう。(とても痛い)

 

↓個人的な見解ですが、外来種について書いているので予習しておいてくださいね

特に「外来種は悪か」では、なぜ外来種の駆除活動が行われているのかについて触れていますから。

matsup.hatenablog.com

matsup.hatenablog.com

 

前置きが長くなるのでそろそろ終了して、本題へ。

元々は食用としてブルーギルが入ってきたという背景があるので、肥料等に利用ではなく食用利用で考えていこうと思います。

 

まず、ブルーギルを釣ったことのある人なら分かるかもしれないか、ブルーギルはとにかく生臭い。この生臭さが食用利用とはされずに嫌われる要因の1つなのかもしれない。また、背びれが鋭く、釣り上げた時と下処理をする時に負傷する可能性がある。そして、ブルーギル特定外来生物なので釣り上げた後、締めて(死んでいる個体を)持って帰らなければならない。とにかく手間がかかり面倒臭い。

他にも挙げていくとキリが無く、ブルーギルが嫌われる要素が沢山あるが…割愛。

実際にブルーギルを調理して食べないと、食用利用に適するか正確な情報をお伝えすることができないので、この私がみなさんの代表としてブルーギル料理を作って食べて感想をお伝えします。私以外の人間の客観的な意見を取り入れるため、ギル料理判定を友人にしてもらい、一部の料理について評価してもらいます。

※今回は長編です。1つの記事に何箇所か区切りを付けたいところですが、はてなブログの仕様上できませんのであしからず。

 

ブルーギルを釣る

食材(ブルーギル)の調達をします。

5月〜6月の産卵期前や8月下旬〜9月下旬の秋の一歩手前くらいの気温の時にわんさと釣れます。10月でも気温が高ければ普通に釣れますし、温排水が流れているところでは冬でも釣れます。

餌はミミズ等でいいですが、草むらにいるバッタに針をつけると山ほど釣れます。

またこれは私の経験上なのですが、産卵期前と冬を越す準備をしている時期(秋くらい?)はさらに釣れます。針に米つぶをつけたり、植物片を針につける、極め付きは餌無しでも。

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ブルーギルを釣った環境

水の流れが緩やかなので水の色が濁っている。ブルーギルが臭そう。

ブルーギルを捌く

鱗を落とすのは、他の魚と同様に。市販の鱗落としを使うよりもペットボトルのフタを使う方が鱗を落とし易いかもしれません。鱗の処理が完了したら頭に写真のように切れ込みを入れ、内臓ごと頭を落とします。内臓を潰さないため、まな板が汚れる心配はありません。

ペットボトルのフタで鱗を落とす際は、背びれなどのトゲはあらかじめキッチンバサミでカットしておく方が良いです。私はカットせずにそのまま捌いていたので、手が滑った時にトゲが刺さりました。

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ブルーギルを捌く最も簡単な方法

三枚おろしにした後、塩水処理をしておいた方が臭みや滑りが取れると思います。塩水処理が気になる方は調べてみて下さい。(ここでの説明は割愛させていただきます)

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三枚おろしの場合、腹骨のすき取りと皮引きですが、油で揚げる、香辛料を使う場合は皮引きはしなくてもいいかもしれません。ですが、腹骨は取り除きましょう。大きい個体だと口の中に残ります。

持ち帰ってかなりの時間が経過している場合は腹身を腹骨ごとカットしてしまった方が良いかもしれません。

 

料理(実食)

 

南蛮漬け

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まつもと:揚げたブルーギルに一手間加えた一品。こちらも、油で揚げるので皮があっても臭みは取れている。普通に食べることができる。普段、南蛮漬けはアジのものを食べるが、ブルーギルでも問題なさそうだ。ただ、アジのような処理では背びれ等が危険なため、大きめの個体の三枚おろしにした身を使用することをオススメする。

 

揚げ物系
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素揚げ

まつもと(以下ま):シンプルイズベスト。下味をつけて油へ。素揚げに使う個体は小さければ、カリッと揚げると骨まで食べることができる。大きい個体は三枚おろしにして背骨や腹骨を取り除いて素揚げにしよう。食べると捌く前の臭みはなく、皮をつけたままでも臭みを感じることがなく、普通に食べることができた。

友人(以下友):臭みがなく食べることができ、川魚(オイカワやカワムツ)の素揚げと引けを取らない。

唐揚げ

ま:素揚げやフライ同様、油を使っているので臭みが無い。臭み対策で入れた生姜がよいのだろうか、普通に食べることができた。(写真のブルーギルの唐揚げの上にあるのはウシガエルの脚の唐揚げです。)

友:素揚げも良いが、唐揚げも良い。もう少しショウガ入っているといいかもしれない。

天ぷら

ま:これも唐揚げと同じく、油を使っているので臭みが無い。普通に食べることができる。

今回は塩をつけていただいた。ブルーギルを釣りつつ、川エビや食べられる野草を採集した場合は天ぷらにすることをオススメする。また、天ぷらや唐揚げにしたものを南蛮漬け液に浸すのもボリュームが出て良いかもしれない。

さつま揚げと梅シソ巻き

ま:さつま揚げはブルーギルの身をすり潰し、薬味(ショウガ、シソなど)と練って油で揚げた一品。普通に美味い。フードプロセッサーを使うと魚臭くなりそうなので包丁で叩きまくった。身をすり潰すのが大変で、昔にブルーギルかまぼこを作った時のことを思い出しました。油で揚げずにつみれにする場合、ニオイが気になると思うのでキムチ鍋に入れた方が良いのかもしれません。

シソの天ぷらに見えるのがブルーギルの梅シソ巻き。すごく美味い。

 

ムニエル

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ま:塩コショウで下味をつけて小麦粉をまぶして焼くという、シンプルなもの。臭み消しにニンニクを加えても良い。ブルーギルの生息地にもよるが、ムニエルにする場合は皮を引いておいて方が良いかもしれない。今回は皮をつけたままムニエルにしてみた。臭みが気になる場合は皮を引くか、カレー風味ムニエルにした方が良い。

 

アクアパッツァ

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ま:少しオシャレに。盛り付けが上手いとインスタ映えとかするのだろう。俺にはインスタ映えは無理だ。実はアクアパッツァではなく、ギルのカルパッチョという悪魔のような料理を作ろうとしていた。寄生虫不可避。なので蒸す工程があるアクアパッツァに急遽変更。環境が悪いブルーギルだと臭さみが出るかもしれないが、これ(手間をかけるという点と見栄えの良い盛り付けという点)は料理人の努力次第かもしれない。

レモンバターホイル焼き

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ま:これは野外でブルーギルを釣ってキャンプ場等で食べるといったことを想定。キャンプでBBQとかをするだろうから、レモンがあるかもしれない。レモン汁を適量垂らすことでサッパリとして良い感じに。美味い。

ブルーギルとバスの佃煮

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ま:写真ではバスの幼魚しか写っていませんが、ギルの幼魚も入れました。味は小魚の釘煮みたいな感じです。臭いところのバスやギルで作れば、釘煮+ドブの香りになるでしょう。特に不味くなく、普通の小魚の釘煮の味なので何ともコメントし辛い。山椒をまぶすのがポイント。

 

個人的におすすめするブルーギル料理

全体的に不味いものはなく、コメントを付け辛かった。そんな中でも簡単かつ美味しい料理だと個人的に思うものをおすすめ料理として挙げる。

 

素揚げ

評価ポイント:簡単に作れるという点と油で揚げているため臭みがなくなるという点。油で揚げるならフライや唐揚げでもいいのでは?と言われそうだが、出来立ての素揚げに(下味が既についているが)塩コショウをまぶすと美味。ぜひ試してほしい。

 

南蛮漬け

評価ポイント:素揚げのブルーギルが余ったら南蛮漬け液をつくるだけですぐに南蛮漬けにできるという点で評価。大きい個体で南蛮漬けにする際は、中骨が口の中に残るため三枚おろしにして油で揚げないといけないが、小型の個体ならウロコと内臓を落として油で揚げるだけなのでとても簡単。

 

 

総評

どの料理も食べることができ、普通に食卓に並んでもおかしくないものだった。当然、生息地が汚いと生臭さやケミカル臭が身の部分からすると思うが、生臭さについては料理方法、下処理の方法次第でなんとかなることが分かった。ただ、作る側の努力が必要で、時には生臭さ等を消すためにコストがかかるが、 ブルーギルには食材としての価値が十分にある。実際に料理する方は怪我をしないように注意してください。

 

いかがでしたでしょうか?このクソみたいな検証を見て、少しでも外来生物ブルーギルに興味をもっていただけたらと思います。あと、予想以上にブルーギルが美味しすぎて「泥臭い」といったネタが無くて個人的に残念である。食べることは抵抗があるかもしれないが、ぜひチャレンジしてもらいたい。