外来生物についての記事を作成した時からですが、「ため池の水を抜いて外来生物を駆除するという活動」が世間に浸透したことはとても嬉しいことで、子供達だけでなく、大人の方も興味を持って活動されている方もいます。 少し前まではあまり人に理解されない活動でしたので、本当に嬉しいことです。
ここでみなさんに質問です。最近、テレビで外来生物の駆除について見る機会が増えたかと思います。なぜ、外来生物を駆除するのでしょうか?考えてみて下さい。
"なぜ外来生物を駆除しなければいけないのか"。この答えを出せない方が多いと思ったので質問をしてみました。
「元々日本にいなかった生物が日本にいるから」と答えた方がいるかもしれませんが、それは違います。外来生物が存在(生息)することは悪いことではありません。なぜなら、私たちが食べているコメやダイコン、ニンジン、カボチャなど海外のもので元々は日本のもの(在来生物)ではないからです。この記事を読んだ方には正確に理解していただきたい。
外来生物を駆除する理由は、在来生態系に影響を与えているから。在来生態系を守るためには一番良いと考えられることは"影響を与えている原因"である「外来生物」を1匹残らず排除することですので、ため池の水を抜いたり、網やもんどりカゴで捕獲したりと外来生物の駆除(または、野生から排除)がされています。
ここまで外来生物について書きましたが、テレビ東京の「ため池の水を全部抜く」とう番組を見て、個人的に物申したい点があったのでまとめました。
・上で紹介した外来生物を排除する理由を見失っている。希少な在来生物や大型の外来生物を捕獲・確認することがメインになり、小型の外来生物が放置されているように見えるという点。
・(テレビ番組なのでカットされているのかもしれないが)小型のエビや水生昆虫を捕獲できていないように見える点。捕獲しても(その池に生息しているであろう推定個体と比べて)はるかに少ないように思える点。
・参加者が多すぎて在来生物・外来生物共に弱ったり、死んでしまうのではないかという点。
(踏んだり、大人数が池に入って泥が攪拌される等でエラが詰まり(主に)魚類が弱る・死ぬ)
この件に関しては、一般参加者が集まり過ぎて指示も通らないのかもしれない。池に入る人数の制限を設けたり、主催者側が事前に外来生物を駆除する目的や捕獲の仕方(デリケートな種の捕獲方法)などを事前に参加者に説明することが必要。一般参加者もまたある程度の知識が必要。
・(番組を見る限り)一斉に池に入って生物を捕獲しているので、作業分担が必要なのではないのかという点。
池から生物を回収する人が多くても、回収された生物を仕分けたり、一時保管用の水槽に運んだりする人がいないと回収した生物を殺すことになります。
私も番組とは関係ないところで池の水を抜いて外来生物を駆除する機会がありましたが、どうしても作業中に弱ってしまうデリケートな生物もいます。そんな生物がいることを事前に説明もされなかったら、知識を持たない一般参加の方はどうするでしょうか?
新聞記事等で「外来生物を駆除して在来種が増えた」という嬉しい報告がある一方で、想定外のことや知識不足、現場の不手際等で"本来なら死ぬことはなかった在来生物"が死ぬという負の面があるのではないかと、前々から思っていたので書きました。
番組は地域の方の手助け的な役割で主体は地域の方が動くというスタンスでやっているので、番組スタッフと地域の主催者にはひと言。とりあえず、「外来生物を駆除する目的だけは見失わないようにしてくれ」ということと、芸能人が来て地域の方と共同で作業をするが、これは「お祭りでは無い」ということ。楽しむのは構わないが、目的を見失い過ぎである。
-管理人からさらに-
外来種のコイやゲンゴロウブナ(ヘラブナ)*1が池の水を抜いた後に再放流するところを詳しく説明しないとダメなのではないか。
なぜ、アリゲーターガーやオオクチバスはダメでコイやゲンゴロウブナ(ヘラブナ)ならいいのか。ここをはっきりさせないと視聴者が「?」になってしまいます。
私のところでは、コイは在来生物か外来生物でないかと言われれば外来生物*2になりますが、クサガメ同様に明治時代以前*3に日本に持ち込まれています。そのため特に外来生物だと言われて駆除はされません。*4*5ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)に関してはニジマスなどの外来トラウト系のように漁業方面から水産資源ということで保護されています。特に言われなければ駆除するんですがね。
あと、ため池の水を抜くのは外来生物を駆除するためではないということ。ため池は防火用や農業用に作られていますが、基本は農業用で、池干しは農業のための掃除。外来生物を取り除くのはメインではなくあくまでサブだということ。
掃除がメインです。(2回目)
農閑期の11月から2月の間に池干し(かいぼり)のイベントが多いのはそのため。そして池の底が空気に触れたり、ゴミや底の泥を取り除くことによってキレイになるのです。