まず、外来種が善なのか悪なのかを判断する前に、そもそもの用語の解説からはじめよう。ここでの悪とは、在来生態系に影響を与えるという意味で使う。
外来種…元々その地域にいなかったのに、(意図的・非意図的を問わず)人為的に持ち込まれた生物。導入された時期は問わない。国内の外来種と国外の外来種の2つがある。
外来生物…一般的に外来種と同義で使われる。外来生物法で「海外から我が国に導入されることによりその本来の生息地又は生育地の外に存することとなる生物」と定義されており、国内外来種は含まない。
外来生物法…特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の略で、日本在来の生物を捕食したり、競合したりして、生態系を損ねたり、人の生命・身体、農林水産業に被害を与えたりする、あるいはそうする可能性のある外来生物による被害を防止するために、それらを「特定外来生物」等として指定し、その生物の飼育、栽培、保管、運搬、輸入等について規制と、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うことを定める。ここでの外来生物は、人の移動や物流が盛んになった明治時代以降に持ち込まれた生物と定義されている。
特定外来生物…生態系、人の生命・身体、農林水産業に被害を及ぼしたり及ぼすおそれのある外来生物の中から、規制・防除の対象とする生物のこと。特定外来生物は、生存しているものに限られるが個体だけではなく、卵、種子、器官なども含まれるため、生きたままの移動は罰則の対象となる。
ここで、問題。この中からあなたは外来種を選ぶことができるでしょうか?
実力を知りたい方は下の「詳細を表示する」をクリックして外来種だと思うものを全て選択してください。(正答率の集計をとります)
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あなたは正しく選択することができたでしょうか?
答えとしては、ツキノワグマとユーラシアカワウソ以外は外来種です。
タイワンリス、岐阜県に定着したシマリス、アメリカザリガニは飼育されていたものが逃げ出したもの。つまり、「意図的」な人為の介在(人間が飼育していた個体が逃げ出した)があるため外来種です。問題にありませんでしたが、ヒアリは貨物の中に紛れ込んでいたので「非意図的」ですが人為の介在があるため、外来種です。
リスはペットとしてですが、アメリカザリガニはウシガエルの餌として持ち込まれました。
イネ、コムギは元々日本には生息していませんでしたが、渡来人によって日本に持ち込まれました。つまり、人為の介在(人為的に持ち込まれた)があるため外来種です。
(ニホン)ツキノワグマは日本固有種なので解説は不要だと思うので、ユーラシアカワウソの方を。
長崎の対馬でニホンカワウソだとされた個体が実はユーラシアカワウソでしたが、対馬に生息していても外来種ではありません。なぜなら、上の用語解説の通り、人為的に持ち込まれていないから。つまり、中国大陸に生息するユーラシアカワウソが自力で日本にたどり着き、日本で繁殖しているから外来種ではありません。
上の解説を「外来種」について簡単にまとめると、
つまり、外来種の防除活動で「外来種を駆除するなら、イネも外来種だから駆除しろ」などの文句を言ってくる人間は、外来生物法を完全に理解していない。駆除の対象は明治時代以降に持ち込まれた特定外来生物で、縄文・弥生時代に持ち込まれたイネと比較するのは見当違いだ。ただ、イネは外来種という点は正しいが。
そろそろ私が言いたいことがみなさんは理解できてきたと思います。
外来種の全てが悪ではない。悪(生態系に影響を与えている)は、「特定外来生物」
ということです。
まぁ、外来種が悪という思想ならペットの犬や猫、魚類、爬虫類、両生類、昆虫類、スーパーで並ぶ海外の果物・野菜類なんて全て排除しないといけませんね(笑)
某緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦という番組から、外来種は殺してもいいという雰囲気を私は感じ取りました。外来種というだけで駆除(=殺す)を正当化する理由にはならない。では、なぜ駆除活動が行われているのか?
例えば、オオクチバスを駆除する理由は「外来種だから」ではなく、特定外来生物に指定されていて、在来生態系に大きな影響を与えているから、その影響から在来生態系を守るために有効な方法は「原因であるオオクチバスを駆逐すること」が最も適していると考えられているため駆除活動が行われている。
別に、外来種だから悪という差別的な思想ではないし、外来種を駆除する活動は遊びではないのである。
この考え方が出来ない一部の釣り人がオオクチバス駆除を反対する。
私の住んでいる地域では、バス釣りが好きな少年がオオクチバスを生きたまま運搬して別の河川へ放流しているから驚きである。立派な外来生物法違反である。理由を聞くと、「オオクチバスを釣りたいから」との事。釣りをしたいという気持ちは分からなくはないが、違反している事を知りながら放流を行っている少年に注意をした。釣りをするならオオクチバスがいる管理釣り堀に行って釣ってほしい。あと、罪だと分かっていて罪を犯すのはどうかと思う。
そして外来種を考える上で、「在来種が多少絶滅しても、外来種を持ち込んだら多様性に貢献するのでは」という考え方。
下の「外来生物事典」は私が危惧していた「在来種が多少絶滅しても、外来種を持ち込んだら多様性に貢献するのでは」という考え方を助長するような内容なので読むのをオススメできない。これにお金を払うくらいなら、ソシャゲに課金してください。
こちらも、読むのであったら書いてあることを鵜呑みにしてはいけない。翻訳がいけないのかしれないが、曲解を助長しないか不安になる本である。
人によって考え方が様々だが、外来種をたくさん日本に持ち込んで生物多様性(ここでは種の多様性)に貢献するという考え方は、新たな特定外来種を生み出しかねない。生物多様性の定義である遺伝的多様性*1や生態系の多様性*2を考慮していない考え方だと私は思う。
適当に書き綴ったので文章がおかしい部分や意味がわからない部分があるかもしれません。ただ、外来種について理解してほしいという私の思いです。
matsup.hatenablog.com
2017年にも似たようなこと書いてました(てへぺろ☆)