今年初の生物採集の内容です。
突然ですが、みなさんはマイナス潮位と言う言葉は知っていますか?
簡単に説明すると、潮の満ち引きでそれ以上水深が浅くならない「最低水面」があり、この最低水面が潮汐表の0cmの位置なのですが、冬(11月、12月、1月)に時々、干潮時の潮位が最低水面(0cm)よりも浅くなることがあります。この0cm以下の潮位をマイナス潮位と呼びます。詳しくは下記リンクにて。
http://www.kaiho.mlit.go.jp/10kanku/merumaga/tsushin/tsushin103.pdf
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN5/press/2004/12/12.htm
普段より潮が引く="生き物を採集するのに良い"と思い、干潮時の時刻を確認。
午前4時でした。それより前に現地に着いていないと採集時間も少なくなるだろうと思い、3時半に現地に行きました。
あたりは真っ暗で草木も眠る丑三つ時。今回は私一人で採集に行っていますが、必ず同伴者が必要です。危険だという意味もありますが、一人だと怖い。
率直な感想は怖い。辺りが真っ暗です。(重要なので同じような言葉を繰り返す)
そして、懐中電灯が100均のものなので少し心細い。
満潮時に波打ち際だった所まで来ました。ヘドロの一部が見えると思います。
暗闇の中、灯台の明かりと月明かり、100均ライトのみ。それ以外はありません。
いざ…
干潟を歩く私の姿はシギのよう。傍から見たら変態である。
私一人だけなので、残念ながらその写真は撮れませんでした。
ヤドカリやイソガニを回収するため干潟を彷徨っています。
そしてこの後、誰もいないのに
女性の悲鳴が聞こえたのである…
唯一言えるのは、鳥が変な声をあげた訳でもなく確実に人間で、女性の声ということと、辺りに人は自分以外に誰も居ないということ。
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【追記】
徹夜で作業をしているから幻聴でも聞こえたのだろう。(この後、家に帰り寝ていたら金縛りにあいました)たぶん、完全に疲れているのでしょう。
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自分は霊的なものは得意ではありません。心の中で♪おばけなんてないさ おばけなんてうっそっさー!!と繰り返しました。
怖さと戦いながら、ひたすら石をひっくり返してカニを回収します。釣り餌用と飼育用に採集をしていますが、採集のキホンは必要以上に採り過ぎない。
(注:基本的にタモ網を持ち歩かないので全て素手の採集になります。この時期は完全に手が凍てつきます。しもやけで手が死にます。)
真っ暗で何も写ってないように見えますが、写真中央に雨雲が。沖の方は雨が降っている。マズイ!こっちにくる。
雨雲が近づいていたので逃げるように帰りました。(おそらく時刻は4時20分くらい)
家に帰ってきてから撮影。
これはイソガニ(Hemigrapsus sanguineus)。大きい個体から小さい個体まで採集。
こちらはカメノテ (Capitulum mitella)で、ちゃんと生きています。水槽内の岩に固定してカメノテが生息する環境を限りなく再現したいと思いましたが、大変そうなので味噌汁で飼育します。まぁ、食べるとすごく甲殻類のエキスが口の中に広がる。いわゆるエビの味です。美味しかったです。
殻がイボイボしているイボニシ (Thais clavigera)。こいつもカメノテも食べることができます。
この他にはスガイという、サザエと同じ仲間(Turbinidae)で食用の巻貝も採集しました。
後々、採集した生き物たちは水槽で飼育します。今はトリートメント水槽で様子見です。
そして最後に恒例のお約束
深夜に1人で海に行くのは本当にやめましょう。生物採集に行くときは必ず同伴者を連れて行って下さい。お化け出たら怖いしね。